これまではろくに内見もしていない部屋に住み続けてきた寺倉そめひこさん。前編では、不動産仲介サービスのietty(イエッティ)を通してはじめての内見に訪れた。果たしてそめひこは理想の部屋に引っ越しできたのか……?
目次
武林ハイツ303号室(賃料12万9,000円)47.85㎡
前編の302号室に続いて、303号室を内見。家賃は月6,000円しか違わないが、広さは36.30㎡から47.85㎡までアップグレード。SOHO(※事務所として)利用まで考えるなら、こちらのほうが現実的かもしれない。
- 武林ハイツ303号室
- 賃料12万9,000円
- 47.85㎡
「前編の記事よりも10㎡ぐらい広くなりました」(平根)
「左の大きな部屋を事務所用、右の少し小さい部屋をプライベート用にしようかなあ」(そめひこ)
SOHO利用で活躍しそうなLDK12帖
打ち合わせ用のテーブルや社員数名分のデスクを並べることができそうな広々としたスペース……よりも気になるポイントがあるみたい。
「あ、なんかベランダの地面が緑っぽくなってる」(そめひこ)
「誰かが入ってきそう」(そめひこ)
「(異常なほどに疑心暗鬼だな)」(平根)
「東京にきて最初に住んでいた場所には浮浪者が多くて。部屋は1階なんですけど、よくドアにオシッコをかけられたり、引っ越し1週間目で洗濯した荷物がなくなったり、半年で自転車が2回パクられたり、ドアをあけたらおじさんがうんこをしていてソッと扉を閉じて5分後開けたらティッシュが落ちてなかったので拭いてないのかな? とか考えたり、とにかくイタズラされることも多かったんです。ここなら大丈夫かもですね」(そめひこ)
「結構その要件、大丈夫な場所多いですよ」(平根)
・
・
・
・
・
「他所でやってください」(平根)
・
・
・
・
・
「思い出すなー」(そめひこ)
「……と言いますと?」(平根)
「浮浪者がよくいる街に住んでいたとき、5〜6人のおっちゃんにドレスをきた長髪の女性が絡まれてたんですね。すごくコワかったんですが、女性もコワいだろうと思い、勇気を振り絞って『ちょっとやめましょうよ』って止めに入ったんです。そしたら、ドレスをきた女性もおっちゃんで、そういうプレイをして楽しんでたんですよね。多分あれは、ルーティンでやってる気がする」(そめひこ)
「何でいま思い出したの?」(平根)
・
・
・
・
・
——さて、ここまで続けてきた本日の内見企画も次でラスト。そめひこは納得できる部屋とめぐり合えたのか!?
理想の閉じこもり部屋、8帖の洋室
プライベート用に平根がオススメするこちらの洋室。……入るやいなや一目散に隅へ向かうそめひこ。
「あ、この辺いいかも」(そめひこ)
「やっぱり押し入れとか、そっちに行くんですね。どうぞ」(平根)
「人間がピッタリ入る」(そめひこ)
「……入ります」(平根)
・
・
・
・
・
「この薄暗さ、最高ですね!」(そめひこ)
「はい、最高です!」(平根)
「ようやく理想の引きこもりスペースに出会えたかもしれない」(そめひこ)
「哲学に動詞はないよ」(平根)
・
・
・
・
・
——行動をともにするなかですっかり打ち解けた2人。
実際に借りる借りないは別として、そめひこにとって理想のくつろぎ部屋とはいかなるものか。インテリアにもこだわった場合、どんなテイストに仕上げたいのか問う。
「ぼくは元藍染職人なので、自分で染めたインテリアを置いてみたり、和モダンな感じにしてみたい。とはいえ、いまは仕事が忙しくてほとんど何もこだわれていないんですけどね……」(そめひこ)
「ちなみに、窓からの眺めはいかがですか?」(平根)
「うーん……」(そめひこ)
・
・
・
・
・
「……少しセミがうるさいかな」(そめひこ)
「夏なので我慢してください」(平根)
はじめての内見を終えて……
こうして、内見を終えたそめひこ。感想を聞いてみた。
「やはり実際に見てみないとわからないものですね。希望以上の物件をイエッティさんに探してもらい大満足です。ただ欲を言えば、もう少し日当りの悪い部屋が良かったかな」
そこで営業担当の平根がこう返す。
「じつは武林ハイツの1階がさらに広くて薄暗い。今はまだ入居中ですが、じつはもうすぐ空きになるんです。後日またご一緒に内見いかがですか?」
理想の閉じこもり部屋を探して今後も続く……かも知れない(?)。