はじめに

今回はこの場をお借りして、私が実際に体験した「持ち家を貸しに出すときの3つの留意点」を紹介します。中の人の備忘録的なやつですね。
実は「第20回 新築分譲マンション購入に際しての意識調査2013年」によると、東京オリンピック開催決定後物件の購入意欲が上がっている傾向があるようです。「家を買って資産を持ちたい」「資産として有利」と考える人が増えたみたいですね。
参考:第20回 新築分譲マンション購入に際しての意識調査2013年 | MAJOR7
「ゆくゆくは物件を資産運用したい」
「買った物件を賃貸に出したい」
「物件を賃貸に出しているけど借り手が見つからない!」
筆者の場合、当初の目的は資産運用ではありませんでしたが、今回は上記のような人に役立つ体験談としてお楽しみいただければと思います。にゃ。
買った家を賃貸に出した経緯
まず、購入した家(購入者は筆者の親)を賃貸に出した経緯です。当時は中古のマンションを買って、のんべんだらりと暮らしていました。築44年の中古マンション。5階建てエレベーターなしの5階。階段も一段一段が高く、毎日筋肉痛との戦いでした。
「歳をとったらキツイよねー」と親と話していた先、転機が訪れます。それは猫でした。
当時購入して住んでいたマンションは、ペット不可の物件。ペット不可だと知りながら、

と甘い考えでいました。(編集部注:ペット不可の物件で猫を飼ってはいけません!)
そして当たり前ですが、マンションの全体会議で注意されることになります。
名指しではなく、筆者のようなペットを飼っている輩が何人かいたようで、会議を取り仕切る長老さん(筆者の家ではマンションの自治会長のことを長老と呼んでいました)

誰だよ。堂々と散歩した奴。(そういう問題ではない)
筆者宅の場合は猫だったので散歩させることはないものの、当時は子猫でこれがにゃあにゃあと可愛い鳴き声を出すもんで。

これは出ていかなくてはいけませんね!
こうして筆者宅では、引越し先を探すことになりました。猫のための引越し。2012年、夏のお話です。

新居自体はすぐ見つかる

古巣よりも都心から離れたものの、新たな住まいはすぐ見つかりました。月々のローンの支払い額はほぼ古巣と同じです。2012年の秋に引越しをします。

結論を先にいうと14ヵ月も空き家でした。赤字なんてもんじゃないですよ。ダブルの税金です。ダブル管理費です。
貸し物件の提示条件

場所:神奈川県 東急線沿い(最寄りは各駅停車駅)
駅からの距離:徒歩5分
広さ:3LDK 65.59平方メートル (19.84坪)
賃料:10万円/1ヵ月(敷金/1ヵ月分、礼金/1ヵ月分)
特記:バストイレ別、ペット不可、バルコニー付き(晴れた日は富士山が見えた)、小学校が目の前、古いけど構造はしっかりしている「分譲賃貸」

最初の1~3ヵ月は

なんて浅はかな期待を持っているものの、4ヵ月、半年と経つとだんだんと焦ってきます。

あまりにも借り手が見つからなかったたため、特に古さが目立っていた洗面所とお風呂場、台所の壁紙の3か所を後々リフォームすることになります。
費用まとめ
とりあえず、借り手が見つかるまでかかった大まかな費用を書いておきます。
古巣のマンション管理費:2万4500円/1ヵ月(14ヵ月で34万3000円)
※家主なので借り手が見つかっていない状態でもマンションの管理費はかかります。
クリーニング代:10万円
リフォーム代:8万6000円
―――
合計 52万9000円の赤字

筆者宅は富豪でもなんでもない貧乏庶民のため、あっという間に生活苦です。あっという間に100万円なくなります!

クリーニング代は新居を見つけてくれた不動産屋さん(この不動産屋さんに出会ったきっかけはポストに入っていた物件チラシ)に

と言われ、その不動産屋紹介の業者で引越し直後にハウスクリーニング。
しかし!後々に価格相場を調べると、「内容からして10万円は高すぎ!」と気付いたため、みなさんは色々な会社で見積もりを出してからハウスクリーニングをやってください……。

リフォームの詳細は後編で記載しますが、知り合いからの紹介もあり、そこそこ安くリフォームしてもらいました。予め言っておきますが、リフォームは運命の分かれ道です。
持ち家を貸しに出すときの留意点
1:借り手がすぐ見つからないときのリスクを計算しておく
借り手を見つけてくれた不動産屋さんいわく、空き家問題が加速し、そこそこの好条件でも借り手が見つからない物件が増えているそうです。
筆者宅はあまり条件の揃った物件ではなかったため、前述のように苦戦を強いられました。駅近の物件だからすぐ借り手が見つかるなんて考えが甘かったのです。
家賃収入に期待するのも結構ですが、借り手が見つからない本当に最悪のパターンを考えて、持ち家を賃貸に出すことが正しい結論なのかどうか考えましょう。
筆者宅の場合は物件を売ると借金しか残らないくらい安値だったため、「賃貸に出す」という選択肢になりましたが、込み入った事情がない限り「買い替え」という手段が一番ベターだと思います。
また、可能ならば、不動産の知識がある人間を交えて話し合うようにしましょう。
2:ダブルの固定資産税と管理費
筆者宅では古巣のローンがあるものの、新居として「中古マンション」を購入していました。ローンが通ったとはいえ、今では「新居は賃貸でも良かったのでは?」と感じています。(子孫に物件を残したかったようです。)
新居を新しく購入するとなると気になるのは税金のこと。特に筆者宅では市をまたぐ引越しだったため、A市(古巣)での税金、B市(新居)での税金、ダブル税金ですね。買った家は「資産」という扱いになるため、ダブルで固定資産税がかかります。
古巣と新居、それぞれに管理費があればそれもダブルでかかります。ダブル管理費。生活苦です。
3:清掃などの管理能力
筆者宅の場合は、月に1~2組程度の内覧があり、そのたび内覧前には掃除に行きました。古巣から新居まで距離があったため、電車に30分揺られ、毎回掃除用具を持って掃除に行っていました。
人が住んでいない物件でも、普通にホコリが溜まるため、掃除などメンテナンスに時間や手間を割けない人は要注意です。
お金があれば、そのつどクリーニング業者に簡易清掃を頼んでもいいと思います。しかし、きめ細かに掃除したところで確実に借り手が見つかるとは言えない点が辛いところです……。
そして言っておきたいことが1つ。
ペット不可の物件でペットを飼ってはいけません。
※この記事は筆者の経験談です。必ずしも、全ての物件保有者に対して有用であるとは限りません。内容はご参考程度に留めていただけますと幸いです。